ご存知だと思いますが、借りたお金を返せない、返したくないという時、法的な手続きなどを行わず放置することを「踏み倒す」と言います。
私は、借りる側、貸す側の両方を経験していますが、借金が時効になって、踏み倒しに成功することは稀です。
貸している側も、あの手この手を使って借主を探しますので、時効が来るまで何年も逃れるのは大変です。
本気で踏み倒すなら、それなりの覚悟が必要でしょう。
それでも、「借金踏み倒しの誘惑」に駆られている人に、その困難さと時効までの期間について、ここでは解説しています。
よろしければ参考にしてください。
これ本当です。
詐欺罪が適用されるのは、「最初から返すつもりがないのに借金した」場合であって、返済するつもりで借りたけど、「返せない」のは詐欺にはなりません。
結果的に踏み倒しになったとしてもです。
返すつもりがない、と返せない、の違いは何か?いろいろ議論がありますが、1度でも借金返済歴があれば、返すつもりはあった判断されるのです。
じゃあ、最初から返すつもりはないけど、詐欺になりたくないから1度だけ返済したら?といった疑問を感じますよね。
難しいですが、ならないと思います。
詐欺であるかどうかは、貸主側で証明しないといけませんが、借金した側は、返済するつもりでしたと言えば、それが嘘だと証明することは難しいからです。
ですので、借金返済できなくてを踏み倒しになったとしても、刑事事件としては裁判になったりしません。
民事事件では裁判になるかもしれませんが、民事の場合は犯罪者にはなりません。
勿論、そんな事を勧めているわけではありませんよ。
詐欺罪でなければ、借金を返済するしないは、あくまでも民事ですので、踏み倒しになったとしても警察の管轄外です。
貸主側がいくら訴えても、弁護士さんにでも相談してみたらと言われる程度でしょう。
逆に、金融会社が取り立てに来ても、不法侵入とかでなければ、警察は取り合ってくれません。
金銭の貸し借りに、警察は関与しないということです。
結果的に借金返済せずに踏み倒すことになっても、警察に逮捕される心配はないということですね。
ただし、貸した側も必死で取り立てようとしてくるので、踏み倒すのは大変な苦労です。
踏み倒しというのは、つまる所、借金返済せずに時効の到来を待つということです。
こう聞くと簡単に思えるかもしれませんが、普通の神経では無理だと思います。
まず、時効までには何年もの期間が掛かります。
時効までの期間は、どういった債務なのか?どこから借りたのかによって異なります。
簡単に表にまとめましたので参考にして下さい。
債務の種類 | 時効までの期間 |
---|---|
個人からの借金 |
10年 |
業者からの借金 |
5年 |
飲み食いのツケ |
1年 |
商品購入時の買掛 |
2年 |
慰謝料 |
3年 |
借金を踏み倒して時効が適用されるには、以下のような注意点があります。
以下は時効が中断される方法、及び期間についてまとめたものです。
時効の中断理由 | 具体的例 | 時効の中断期間 |
---|---|---|
裁判上の請求 |
支払督促の申立 民事調停の申立 和解の申立 破産・再生等の手続参加 |
10年間 |
裁判外の請求 |
内容証明郵便 (中断は1回目のみ) |
6ヶ月 |
差し押さえ 仮差し押さえ |
- | 10年 |
借主の承認 |
債務の一部を弁済した 返済猶予の依頼をした 支払を約束する書面差し入れ |
債務毎の時効期間 (時効の更新) |
個人からの借金の時効は10年もかかりますが、金融業者の場合は5年です。
金融業者はプロですから、法律で保護される期間も短いわけです。
この場合の個人とは、業としての貸金ではないという意味ですので、個人経営の貸金業者は該当しません。
借金時効は定められた期間が経過したからといって、自動的に成立するわけではありません。
時効の援用、つまり時効の利益を受けることを債権者に伝えることによって初めて時効が成立するのです。
実務的には、配達証明書付き内容証明書で時効援用の文書を郵送します。
時々、期間が経過するだけで時効だと勘違いしている人がいるので要注意です。
時効の援用を行うと、借金は完済されたことになります。
銀行、クレジット会社、消費者金融などでは信用情報機関に情報を登録しています。
この信用機関の情報も援用によって借金は完済扱いとなり、延滞情報も消えます。
ということは新たにクレジットカードを作ったり、住宅ローンを利用するということも可能になるのです。
時効が到来しているのに援用をやっていないなら、急いで対応すべきでしょう。
借金をずっと返済しなければ時効は到来しますが、並大抵のメンタルで耐えられないと思います。
頻繁に電話が掛かってきたり、自宅に取り立てが訪問してきたりといった生活を、踏み倒しが成立するまで何年間も過ごすことになるからです。
想像しただけでも、凄いストレスですよね。
キャッシングやクレジットの業者は、延滞先の時効までの期間をシステム的に管理しています。
時効が近づいてきたら、支払督促の申立てにはじまり、確定判決までの手続きを行います。
これで5年だったはずの借金の時効は、更に10年間も延長されます。
15年間、催促され続ける生活なんて、どう考えても無理ですよね。
ですので、当然ですが踏み倒しするなら、夜逃げということになります。
ですが、業者は定期的に住民票で移転先を調べますので、住所も移せません。
別の遠い街に逃げたとして、住所も移せずまともな仕事に就けるでしょうか?
こんな生活、15年も耐えられますか?
借金の時効を待って、踏み倒しを簡単に成功させているのは、日本国外に帰る場所のある外国人くらいでしょう。
実際、外国人に借金を踏み倒されて海外逃亡された経験は数回ありますが、外国まで追いかけていく業者は殆どいませんね。
そういった、元々の外国人でなければ、海外逃亡するにも大金が必要です。
海外逃亡は現実離れした方法だと思います。
銀行、クレジット会社、消費者金融などからの借金は時効が到来して踏み倒せば終わりですが、個人間の貸し借りの場合、人間関係もあって意外に難しいものです。
時効だからと言って、簡単に納得してくれるものでもありません。
人間関係が継続していれば、結局、借金を返済するよう追い詰められることも珍しくないのです。
そうでなければ、人間関係を断ってしまって、縁切りすることになります。
借金返済が苦しいからといって、踏み倒しも楽ではありません。
長々と解説してきましたが、どう考えても大変ですよね。
借金を踏み倒しすることは、簡単には成立しないものです。
そんなに簡単に夜逃げで借金帳消しなどを認めていたら、社会がなりたちませんよね。
踏み倒しのことなど考える暇があるなら、少しでも借りているお金を返済していった方が、よほど楽というものです。
弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談する事で、解決の糸口が見える事もあるでしょう。
最悪、債務整理をすれば、借入残高が減って大分完済しやすくなりますし、自己破産すれば、全ての借金返済から解放されます。
踏み倒しという考えは、捨てた方がいいと思います。
踏み倒しや時効といった言葉で検索して当サイトを訪問される方も多いのですが、貸金業者からの借金返済が困難なら債務整理するのが一番です。
逃げ続けるための費用を思えば、法律事務所に払うお金だって工面できる筈です。
弁護士や司法書士に依頼すれば、金融会社からの取り立てもストップして、精神的ストレスからも解放されます。
現実的な方法で、問題を解決すべきだと思います。
債務整理するにも費用はかかりますが、無料相談もできますし、代金は分割で後払いといった事務所もあります。
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